「コツコツ」が才能を磨き、「コツコツ」が達成をもたらす。

2020/05/05

【志村けん】コロナでこの世を去った稀代のコメディアンは”静かな人”だった

0.腹がよじれるほど笑ったヒゲダンス

 

志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなりました。享年70歳。偉大な芸人のあっけない最期に、多くの人が驚き、そして悲しみに暮れました。

 

 

1970年代。当時の小学生がみんなそうだったように、僕も毎週土曜日に放送される「8時だヨ!全員集合」を楽しみにしていた子供の1人でした。なかでも志村さんと加藤茶さんの「ヒゲダンス」を初めて見た時は衝撃で、生まれて初めて「腹がよじれるほど笑う」という体験をしました。

 

 

その後も「変なおじさん」や「バカ殿」などのキャラクターを生み出し、一貫してコントを作り続け、僕たちを笑わせてくれた志村さん。本当に、国民的なスターと言って間違いないと思うし、そういう偉大な人をコロナウイルスという通り魔のような存在によって失ってしまったことは、僕たち日本人にとっては怒りのやり場が無くて、本当に悲しい出来事として記憶に刻み込まれました。

 

Ⅰ.シャイな大物芸人

志村さんの素顔を知る人は、志村さんは実はとてもシャイで人見知りだった、と言います。

 

 

志村さんと仲が良かったお笑い芸人の千鳥・大悟さんは、志村さんから「飲み会に後輩を連れてこいよ」と言われたので連れて行くと、志村さんは緊張して何もしゃべらなくて困った、とインタビューで答えています。ピースの又吉直樹さんを連れて行ったときは2時間無視していたそうです(笑)。これは決して悪気があってのことではなく、単に、極度の人見知りだったからなのだそうです。

 

 

さらに有吉弘行さんが、志村さんの舞台を見に行って、舞台後に楽屋に挨拶に行ったときのこと。顔を見せてすぐに帰ろうと思って楽屋を覗くと「おいでおいで」と呼ばれたので近寄って、「どうも」とあいさつ。「よく来たね」と言われた後5秒ぐらい見つめ合って、会話が無いから、深々とお辞儀をしてそっと帰ったそうです。とにかくシャイで人見知りな人なのだそうです。

 

 

こういう報道から見えるのは、華やかな世界で生きる大コメディアンでありながら、志村さんのその素顔は実はとても静かな人、ということです。そしてこのことが実は、コント一筋でこだわり続け、緻密で繊細に作り込まれたコントを生み出し続けたことと深いつながりがあるのではないかと、僕は思うのです。

 

 

Ⅱ.内向型の人が持つ粘り強さ

 

「Quiet~内向型人間の時代」の著者であるスーザン・ケインは、この本の中でこう言っています。

 

 

「内向型は、持続力や問題を解決するための粘り強さ(中略)を持っている」と。

 

 

志村さんが内向型の人だったと断定する資料はありませんが、仕事以外の時の志村さんは極度の人見知りであり、シャイで物静かだった、という周囲の人たちからの発言から、自身が演じるコントのキャラそのものの破天荒な外向型ではなく、静かに自分と向き合う内向型の人だったのではないか、と思います。

 

 

そして、スーザン先生はこうも言っています。

 

 

内向型の人は、報酬の多寡に関係なく、自分が大切だと思えるプロジェクトに集中し、我が道を行くために測り知れないパワーをもたらすのだ、と。

 

 

志村さんは役者の誘いが何度もあったにもかかわらず、コントにこだわり続けました。自分がやりたいと決めた一つのことを、深く深く考え、緻密に組み立て、何年にもわたって集中してやり続けられる強いパワーを持っていた人でした。それが、人々を楽しませるコントを生み出し、老若男女、日本人はもちろん海外の人をもファンにしてしまうクオリティの笑いとして結実したのです。

 

 

Ⅲ.ひとつのことをやり続けろ

 

タレントの出川哲朗さんは、志村さんからこんな言葉をかけられたそうです。

 

 

「『出川、お前は俺と似ているな』と言われたんです。『お前はリアクションで、俺はコントだけをずっとやり続けている。芸人は不器用でいいんだ、器用になる必要がない。自分の好きなことだけをやり続けたほうがいいと思うから、お前もリアクションをやり続けろ。俺もコントをやり続けるから』、と」。この言葉を聞いて、「僕がやってきたことは間違ってなかった、これからもそうやって頑張っていきたいな、と思えたのでよく覚えています」と話したそうです。(FLASHより転載)

 

 

また、お笑いコンビのタカアンドトシさんは、志村さんに「ひとつのことをやり続けろ」と励まされたと言っています。

 

 

「欧米か」でブレイクした後、「次」が生まれずに悩んでいた時、志村さんは「(ギャグが)ひとつあるだけでもすごいんだよ。それをやり続けろ。俺だって変なおじさんとバカ殿しかないんだから」とアドバイスしたそうです。

 

 

出川さんに対してもタカトシさんに対しても、志村さんは「ひとつのことを続けることの大切さ」を説いています。

 

 

とかく現代は、ひとつのことに固執せずに次から次へと新しいことをやっていくことが奨励される風潮もあります。コツコツやる奴はバカ、と言う人もいます。

 

 

が、しかし。

 

 

やはり本当に偉大な人が言うことは、いつも決まってこれです。↓

 

 

「ひとつのことを長く、コツコツと続けろ」。

 

 

Ⅳ.志村けんとアインシュタイン

 

志村さんが内向的だったかどうかは定かではありませんが、少なくともシャイで人見知りだったことは、周りの人からの証言で明白です。

 

 

人にやさしく、シャイで丁寧で(後輩にも必ず敬語だったそうです)、そして尚且つ、自分が好きなことに集中し、長期に渡ってやり続けることができるという、内向型の人の特徴を持っている人でした。それをコントというステージで長期に渡って発揮し続けたのではないか、と思います。

 

 

「持続性はあまり目立たない。もし天才が1%の才能と99%の努力の賜物ならば、私たちはその1%をもてはやす傾向がある。その華々しさやまぶしさを愛するのだ。だが、偉大なる力は残りの99%にある」とスーザン先生は言っています。

 

 

志村さんの天才性については多くの人たちに語られています。多くのお笑い芸人やアーティストたちに大きな影響を与えました。僕ごときが言うのもおこがましいですが、あのヒゲダンスの面白さは、ぶっ飛んだ天才性から生まれたとしか言いようがありません。

 

 

しかし、実はその天才性を裏側から支える努力と継続が、志村さんにはあったのです。果てしない時間を費やしてきたその努力と継続性。これこそが僕たちが志村さんから学ばないといけない本当に大切なことなのです。

 

 

「私はそんなに頭がいいわけではない。問題により長く取り組むだけだ」と極度の内向型だったアインシュタインは言ったそうです。(参考『内向型の人間の時代』)

 

 

志村さんとアインシュタイン。

 

 

2人とも天才であることは疑いがない。

 

 

そして2人とも、続けることの大切さを知る、シャイな人だったのです。

 

 

~コツコツ流のオキテ その二十八~

天才が言うことはいつも同じ。「コツコツ続けろ」

 

 

 

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2019/03/28

グラミン銀行~ゆっくりコツコツやることの大切さ

貧困を救うマイクロクレジット

 

 

グラミン銀行――マイクロクレジットと呼ばれる方法で貧困層の「稼ぐ力」を支援している銀行です。

 

 

 

 

バングラデシュの貧しい人々を救済したいという思いで、当時バングラデシュのチッタゴン大学の学部長だったムハマド・ユヌス博士が1983年に創設しました。その後、グラミンの活動はバングラデシュだけでなく世界各国に広がり、2018年9月に日本にも上陸しました。(グラミン日本 https://grameen.jp/)

 

 

 

グラミン銀行は、貧困に苦しむ女性たちに少額のお金を融資し、彼女たちはそのお金によって例えば小さなミシンを買って服を作って売ったり、竹を仕入れて籠を作って売ったり、家畜を買ってそれによって収益を生み出したりします。

 

 

 

つまりマイクロクレジットとは、少額の融資によって自らが小さな事業を起こし、それによってお金を稼ぎ、貧困から抜け出すことを支援する、という仕組みです。

 

 

 

なぜ女性たちかというと、バングラデシュでは女性の地位が低く、社会でも虐げられていたことが起点になっています。女の子が生まれると食べる口が増えるということと、結婚するときに「持参金」を持たせないといけないという慣習から、女の子は家族の中でも歓迎されない存在だったそうです。

 

 

 

結婚したらしたで夫には絶対服従、勝手に外を出歩くことも許されない。夫が十分なお金を妻に渡さない中でも、子供には食べさせないといけない母親は、自らの食べる分を子供に回すしかありません。貧困地域の中で、女性はさらなる苦しい立場に追いやられていたのです。

 

 

 

ここに、救わなけれないけない本当の貧困があったのです。

 

 

 

この状況の中でユヌス博士はグラミン銀行を立ち上げ、彼女たちに融資し、貧困から抜け出すための支援を始めたのです。

 

 

 

「施し」は成長を止めてしまう

 

 

ユヌス博士が主張するのは、貧しい人に「施し」をするだけでは何も解決しないということです。

 

 

 

つまり、貧しい人に豊かな人がお金を渡すだけではだめだ、ということ。

 

 

 

貧しい人を見たり、彼らからお金をねだられたら、つい私たちはお金を渡してしまいます。しかしそれは一時しのぎに過ぎません。お金を渡した方は自己満足し、もらった方は次にもらえる人を探してさまようだけで、何の解決にもなりません。

 

 

 

ユヌス博士のグラミン銀行では、貧しい女性たちに資金を貸し付けることで、彼女らが自ら小さな事業を起こすことを支援します。雇われるのではなく、自ら主体的に事業を始め、収益を出し、きちんと返済をしていくように導きます。この「事業を支援する」ということが、彼女たちのやる気を引き出し、自信をつけさせ、主体的に生きる活力を与えているのです。

 

 

 

「(融資ではなく)お金を渡すことは、現実の問題から私たち自身を遠ざける一つの方法なのだ。わずかな額の金を渡しておけば、私たちは自分が何かをしたと思えるし、善い行いを貧しい人々と分け合うことができていい気分になれる。しかし、実際には、本当の問題を放置しているだけなのだ。私たちは問題を解決しようとする代わりに、金を放り投げて歩き去ってしまうのだ」とユヌス博士は警鐘を鳴らします。

 

 

 

お金に困っているとき、お金をもらえたら助かります。しかし同時に、自分で考えて行動する機会を奪っているという側面もあるのです。

 

 

 

助成金が会社をダメにする?

 

 

 

話は飛びますが、日本の中小企業支援の政策でも助成金という名の巨額な「施し」が毎年行われます。当然のように行われているこの政策もユヌス博士の「施しは何も解決しない」という主張に照らすと、ある疑問が湧いてきます。それは、助成金は本当に中小企業のためになるのか?という疑問です。

 

 

 

確かに資金的に苦しい中小企業が助成金を受けることで余裕ができ、経営がしやすくなるという面はあるでしょう。助成金によって買えなかった設備が買えたり、ホームページを新しくでき、業績に貢献したという事例も報告されています。しかし一方で、「もらったお金」というのは、どうしても使い方が荒くなり、よく考えもしないで使ってしまったりもします。

 

 

 

お金がないときは、どうやって今あるもので勝負するか、を必死に考えますが、「施し」を受けると途端に思考が浅くなります。時には思考が止まったまま、使わなくてもいいお金を使い、将来的な成長にまったくつながらない選択をしたりします。つまり、経営が「緩(ゆる)む」のです。

 

 

 

実際に助成金を何度も利用した経営者は「助成金は麻薬みたいなもので、最初はありがたく思って気持ちも高揚するが、そのうちもう一回もう一回と何度もと要求するようになり、最後には大金をもらっても何とも思わなくなる」と言っていました。

 

 

 

施しを受けた経営者と受けずに自力で頑張った経営者とでは、もしかしたら前者の方が成長スピードは速いかもしれませんが、経営力や判断力は後者の方が身につくと思います。それくらい、自分で考えて行動するということは会社が成長するために重要だと私は思います。

 

 

 

中小企業の経営者のためにと行われた施しが、実は経営者の経営力を伸ばす機会を奪っているという、皮肉な結果を招いている恐れがあると思うのです。

 

 

 

雇用ではなく自営を推す

 

 

 

グラミンでは、施しを与えるのではなく、就業先を紹介するのでもなく、自営による自己雇用を重視します。

 

 

 

女性にとって自営が雇用よりも優れていることをユヌス博士は、①時間がフレキシブルで女性向き、②楽しんでいる趣味を利益の上がる仕事に変化させることができる、③福祉への依存から抜け出し、単に賃金の奴隷になるのではなく、店を開いたり製造業を始めることができる、等の理由から説明しています。

 

 

 

しかし、今まで自営などしたことのない女性たちが家事をしながら、お金を借りて事業を立ち上げ、利益を出し、借金を返済していくことなど可能なんでしょうか。

 

 

 

当初は彼女たち自身がそんなことを信じなかったし、彼女たちの夫は猛反対、さらには地域社会もそんなことを受け入れる雰囲気ではありません。なんせ、女性が外を出歩くだけで批難される社会で、融資を受けて事業を始めるなんてとんでもない!ということです。

 

 

 

そんな中で始まったグラミン銀行が、今では全世界にその輪を広げています。なぜそれができたのか?このことについてユヌス博士は「その秘密は『ゆっくり』という言葉に隠されている」と言います。

 

 

 

ゆっくり着実に、がコツ

 

 

グラミンに反対したり疑ったりする人がいても、その人たちと対立しないようにゆっくり活動を広める。素早くことを起こして失敗するよりも、ゆっくり着実に、物事を正しい方向に進めていったほうがいいのだ、とユヌス博士はいいます。

 

 

 

女性たちは、仲間と励ましあいながら事業を始め、コツコツと前に進みました。グラミン銀行の職員に励まされながら、自分たちを信じ、仲間を信じ、ゆっくりと歩みを進めたのです。

 

 

 

彼女たちはしっかりと収益を稼ぎ、グラミン銀行からの融資の返済も確実に実行していったそうです。「貧困層の人たちが、借金をきちんと返済できるはずがない」と疑っていた人たちの懸念を吹き飛ばし、一般の人々よりも高い返済率を実現したそうです。

 

 

 

ユヌス博士のグラミン銀行は、丁寧に丁寧に、何度も何度も説明し、理解を求め、言ったことを必ず実行し、少しずつ、ゆっくりゆっくりと進んでいったのです。

 

 

 

この「ゆっくり」こそグラミン銀行の成功の秘密なのだ、とユヌス博士は言います。

 

 

 

小さく控えめに始めて実験を繰り返し、失敗から学んだことを次の行動に生かして進んでいく。ゆっくりゆっくり。コツコツと。

 

 

 

自分で考えて自分で行動する。自分でエンジンをつくり、自分で動かし、自分で磨いていく。それが重要なんだよ、と。

 

 

 

ユヌス博士が教えてくれました。

 

 

 

今後、グラミン銀行がどこまで広がっていくのか。そして日本でのグラミン銀行はどんな風に活動していくのか。

 

 

 

それに期待するとともに、ユヌス博士が唱えた、施しに頼らず「自立することの大切さ」を胸に刻んでおきたいと思います。

 

 

 

 

 

~コツコツ流のオキテ その二十五~

★「ゆっくり」が結局、一番早い

 

 

 

 

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2019/01/12

コツコツのコツ

 

 

コツコツと継続することの重要性は分かっても、それを実行しようと思うと、これがなかなか難しい。自分的に盛り上がってやり始めるものの、すぐに冷めてしまい、気が付くとやめている。いわゆる三日坊主。

 

 

 

コツコツとやり続ける人が称賛される裏には、コツコツと続けるのは意外と難しいということを、多くの人が自己の体験から身をもって感じているからなのだと思います。

 

 

 

では、どうしたら続けることができるのか?今回はこれについて考えてみたいと思います。

 

 

 

■目的を明らかにする

 

 

まず、なぜそれをやるのか?という目的をはっきりさせることはとても重要です。目的がはっきりしないまま始めると、少しでも障害にぶつかると、たちまち心が折れてやめてしまいます。

 

 

 

例えばダイエットのために毎日ジョギングする、という目標を立てたことがある人は少なくないはずです。しかし、なぜダイエットをするのか?という目的が明確でなかったり、達成への意欲が低かったりすると、雨が降ったり、寒かったり、飲みに行ったりなどの障害ですぐにやめてしまうことになります。

 

 

 

私の場合で恐縮ですが、私も週に3~4回のウォーキングとランニング(あわせて30分程度)、週1回のスイミング1キロを目標として掲げており、前者はすでに10年、後者も2年以上継続しています。この目的は、やはりセミナーなどで人前に立つ仕事をしているので、イケメンでもなくスタイルも良くない自分が、少しでも見栄えを良く見えるように、と願うからです。

 

 

 

これは仕事に直結していて、少し大げさに言えば、サボったり途中でやめてしまうと自分の仕事がうまくいかなくなり、ひいては家族の生活に影響が出る、という危機感にもつながっています。

 

 

 

目的をはっきりさせ、その達成意欲を強めるためには、この危機感をうまく利用することも大切です。性格による個人差もありますが、「楽しいこと」を得ようとする意思よりも「つらいこと」を回避しようとする意思のほうが強いと言われているので、これを活用するのです。危機感を活用すると、目的・目標に対してより強くコミットすることができます。

 

 

■席を決める

 

 

やるべきことを継続してやるためには、「それをいつやるのか?」決めておくことが重要です。「これをやったほうがいいな」と思っても、「いつやるのか?」が決まっていないと、絶対に始まりません。「いつかやる」とか「時間ができたらやる」というのは、「やらない」ことの言い訳としては最強です。

 

 

 

「何月何日のあるいは毎週〇曜日の、何時からやる」ということを決めておくことで、まずはやり始めることができます。そして毎月、あるいは毎週その時刻に決めた行動を実施していきます。これを何度か繰り返し、その時刻になったら自然と体が動くようになればしめたものです。

 

 

 

さらに続けると、その時間になってもやっていない自分に居心地の悪さを感じるようになります。ここまでくれば完全に習慣化できたと言えます。

 

 

 

このように、ある行動を同じ時間にやる癖付けをすることを「席を決める」と呼びます。自分のスケジュールの中に席を決めて、その時間になればその席について、その行動を実行する、ということです。

 

 

 

ちなみに私事で恐縮ですが、私が710週間以上継続発行している週刊メルマガ(メールマガジン)は、毎週金曜日の朝8時に配信しています。ですので、前日の木曜日の夜が「メルマガを書く席」になっています。これを710週間毎週やってきたので、もうこの席に着くのを忘れるということはありません。風邪をひこうが、お正月だろうが、旅行にいってようが、木曜日の夜は私にとって特別な時間となっています。

 

 

 

このメルマガを続けてきたことが、私の「信用」を少なからず補完してくれたことは間違いありません。内容を褒められることもありますが、それ以上に継続していることを褒められることも多いです。これをやめると信用が傷つくという危機感から、この席に着くことを710週間(13年間超)1度もサボらず、続けています。そしてこのメルマガの継続が私に自信と信用を与え、仕事において大きなプラスをもたらしてくれています。

 

 

 

■自分との約束

 

 

 他人との約束を守らないと信用を失います。仕事関係はもちろん、友人や家族との関係においても、約束を守らない人は信用されず、社会生活をうまく送ることができなくなります。ゆえに、私たちは他人との約束を極力守ろうと努力します。

 

 

 

 しかし、自分との約束はいとも簡単に破ります。「毎日、資格の勉強を1時間やろう」とか「毎朝早起きをして読書をしよう」などと決めても、簡単にこの決めごとを反故してしまいます。なぜでしょうか?

 

 

 

 それは、誰にもバレないからです。バレないから、ばっさりと約束を破るのです。人間は社会的な存在なので、反社会的な行動にはブレーキがかかります。社会における自分の立場が危うくなることを無意識に避けようとするのです。一方で、社会的に制裁を受けないことに関しては、やすやすとやってしまいます。それが自分との約束を簡単に破るという事態を引き起こしています。

 

 

 

しかし、自分との約束を破ると、自分の心は知らない間に傷つきます。「またサボってしまった」「また三日坊主だ」という思いが、小さくとも、積み重なっていき、自分にダメージを与えます。そのダメージが自分の自信を失っていきます。自分との約束を破ってばかりいると、自分に幻滅し、自分を信じられなくなり、自信を持てなくなります。

 

 

 

過信や妄信は論外ですが、人間にとって適切な自信を持つということは、仕事をするうえでも、あるいは生きていくうえでも、とても重要なことです。「自分らしくいる」ことの重要性は世界中で唱えられていますが、自分らしくいるために最も大事なことは、自分に自信を持つということです。

 

 

 

どんな小さなことでも良いのです。毎日トイレ掃除するとか、毎週1回ブログを書くとか、毎月1回、新規の見込み客と面会するとか。これを積み重ねていくと、自信がついてきます。自分はこれをやり続けているんだという自信。約束をずっと守り続けているという自信。この小さな自信が自分の思考や行動を支え、それらが私たちを成果へと導いてくれます。

 

 

■例外を認める

 

 

何かを始めたものの、どうしてもできないことはあります。「そういう時にはやらなくてもいい」というルールを決めておくことで、やめずに続けることができます。あまりに厳格に自分を縛ると、やれなかったことがストレスになり、自分の気持ちをダウンさせてしまいます。ある程度のユルさを許し、長期的に続けられるように柔軟性を持つことも大事なことです。

 

 

 

先に私は週に3~4回のウォーキングを10年以上続けていると書きましたが、当初は毎日やるつもりで始めました。しかし、仕事で遅くなることもあるし、天候がひどく荒れることもあります。あるいはもっとシンプルに気が乗らない日もあります。そういう時は「例外ルール」を適用し、やらなくて良いことにしてあります。ですから、週に2日の時もあるし、週に5日やる時もあります。平均すると週に3~4回になっています。

 

 

また、「今日はちょっとやりたくないな」と思う時でも、「とりあえず10分だけやろう」と決めて外に出るようにしています。外に出て歩き出してしまえば、結局いつもの30分のメニューをフルでこなすことができます。やりはじめさえすれば、続けられるのです。

 

 

 

心理カウンセラーで著述家の植西聡氏は、「『考える』ことと『行動する』こととの間にあまり距離を置くべきではない。恐怖や不安といった否定的な感情はこのすきまに繁殖するのである」と言っています。

 

 

 

ですから、第一歩を踏み出すことだけに集中し「とやかく考えずに少しだけでもやってみる」という姿勢でいることは、「やりたくない」という否定的な感情を排するためにで非常に重要です。

 

 

 

■自分で自分の背中を押す

 

 

さて、何かに取り組み、何かを成し遂げようとするためには、日々やるべきことをコツコツと積み上げて行かなければなりません。その時、当然ながら実行するのは自分です。誰に相談しようとも、誰から励まされようとも、最後の最後、未知の世界へ第一歩を踏み出すのは自分自身です。自分の背中は、自分で押さなければ、前に進みません。

 

 

 

友人や知り合いに励まされたり、本やセミナーによってモチベーションが高まることもあります。しかし、それらはあくまで間接的・外的なもので、直接的な内的パワーに勝るものではありません。

 

 

 

ある国のことわざで「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を呑ませることはできない」というものがあるそうです。外的なアドバイスや励ましで一定の行動への動機づけになったとしても、最後の最後、本当の行動に移すためには自分で自分の背中を押すしかありません。

 

 

 

この「自分で自分の背中を押す」という言葉は、キャシー中島さんがテレビで使っていた言葉です。キャシーさんは長女を亡くし(享年29歳)、悲しみのどん底に突き落とされました。そんなキャシーさんに対して周りの人たちは慰めたり励ましたりしてくれたそうです。しかし、「最後は、自分で自分の背中を押さなければ前に進めないのです」とキャシーさんは言います。人間が悲しみや不安の中から前に進むためには、他人からの励ましではなく、自分で自分を押す力が必要なのだということです。今、彼女はハワイアンキルトで大成功しています。その裏には、自分で自分の背中を押して前に進んで来た意思の強さがあります。

 

 

 

私の妻は、私が脱サラして資格勉強に没入し、失敗し、その後起業してから現在に至るまで、いつも応援してくれています。しかし「最後は自分だろ」ということはいつも言っています。だから、「頑張れ」とか「あなたならできる」とか表面的な励ましの言葉は一切言いません(笑)。自分の問題は自分で解決しない限り、真の解決にはならないことを知っているからです。

 

 

 

コツコツの最大のコツは、自分のことは自分でカタをつける、と肝に銘じることかもしれません。

 

 

 

~コツコツ流のオキテ その二十五~

★コツコツのコツは、自分のことは自分でカタをつけること。

 

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2018/10/08

天才崇拝の裏にある言い訳

天才ほど努力している

 

 

 

私たちは、「自分が知らないだけで、この世のどこかに、一瞬で成果をもたらすような便利なやり方があるんじゃないか」という希望(というか妄想)を持って生きています。

 

 

 

それさえあれば、毎日毎日、地道な努力を続けなくても、もっと楽に、簡単に、成果が出せるのではないか、と。

 

 

 

あなたも、何か仕事が上手くいかなかったり、思うように成果が出なかったりすると、「ああ、自分が天才だったらな」と思ったことはありませんか?もし自分が天才だったら、こんな地味で退屈なことをやらずとも、あるいは上司やお客に怒られることもなく、もっとかんたんにアッサリ高い成果を出せるんじゃないかと。そして、周囲の人から賞賛され、もっと楽に、充実した人生を送れるのではないか、と。

 

 

 

しかし、あなたも気づいている通り、努力せずにあっという間に成果が出る方法なんてありません。もし仮にそういうものがあったとしても、そうして手に入れた成果は、意外とすぐに消えてしまい、案外つまらないものであることも、実はあなたは知っています。

 

 

 

そこに達成感や人間的な成長はなく、思い描いたような充実感はないからです。もしあなたが「充実した人生」を求めているのならば、それは瞬間的に手に入ったものによってではなく、絶え間ない積み重ねの先にある「自己の成長」によってもたらされるのです。

メダリストの言葉

 

 

オリンピックでメダルを獲った選手やそのコーチ・家族などが競技後のインタビューを聞いていると、そのセリフの中に「コツコツ」という言葉が頻繁に出てくることに気が付きます。

 

 

 

「コツコツと練習をしてきて良かった」「メダルを獲った彼は、雨の日でも、風邪を引いても、コツコツ努力していた」

 

 

 

こういう言葉が、本人や関係者の口から何度も漏れるのは、そこに結果につながった真実があるからに他なりません。「才能」だけでは片づけられない、結果を出すために地味で退屈で途方もなく続いた努力の積み重ねこそが真実であり、それが「コツコツ」という言葉に凝縮されているのです。

 

 

 

彼らは、何年間もの間、毎日毎日練習を積み重ね、試合で勝とうが負けようが、とにかく目標に向かってやるべきことを繰り返してきたがゆえのメダルだ、と考えているのでしょう。マスコミやミーハーな周囲は結果だけを見て瞬間的に騒ぎ立てますが、それまでの過程にある「コツコツ」を見ない人たちに対して、本人たちはイライラしているのかもしれません。

 

 

 

イチロー選手が少年野球の子供たちに向かって日々の努力が大事だと説くのも、結果ばかりに注目して書き立て、その裏にある地味な積み重ねを報じないマスコミへの苛立ちから来ているように感じます。

 

 

天才崇拝の裏にある言い訳

 

 

私たちは、天才を崇拝する傾向があります。「あの人は天才だから、すごい成果が出せるんだ」「小さいころから、あの人は違った」などと言う。

 

 

 

そこには、「高い成果が出せるのは、彼は天才だから」という思いがあり、その裏には「だから、凡人である自分は成果は出せなくても仕方がない」という言い訳が潜んでいます。ゆえに、自分は努力しなくてもいいのだ、あるいは努力をしても仕方がないのだ、と結論付けます。天才崇拝の裏には、「凡人なのに努力をしない怠惰な自分」を正当化する自分がいます。

 

 

 

また、天才崇拝をする裏には、「汗水たらして努力するのはカッコ悪い」という暗黙の雰囲気があります。中学生や高校生のとき、勉強しているそぶりを見せないのにテストの成績が良い、というのが「一番カッコイイ奴」だと思っていませんでしたか?その逆で、勉強しているのに出来ない人が一番カッコ悪い、という雰囲気がありました。

 

 

 

努力していても出来ない人を笑ったり下に見たりする空気が、私たちの間にはありました。だから、どうせ出来ないんだったら、努力しなくても同じだし、むしろその方が潔くて、もしかしたらちょっとカッコいいんじゃないか、とさえ考える人がいます。そうやって、努力する人を笑い、努力することを放棄し、下へ下へと落ちて行ってしまう人もいます。

 

 

 

頑張っても成果が出ないと悲しくなりますが、かといってその努力がすべて無駄だというわけではありません。

 

 

 

成果の出ない努力はすぐにやめて、成果の出るやり方に時間とお金を集中させよ、というのが、自称「できる人」たちの主張ですが、今成果が出ていないからといって、この先も成果が出ないとは言えません。つまり、今やっているやり方が成果が出るものか出ないかものなのかを判断するのはとても難しく、いったいどれくらい努力を続ければ成果が出るのかは誰にも分からないのです。

 

 

 

世の中は複雑化し、同じようなモノがあふれています。ネット社会になり、情報は瞬時に世界を駆け巡ります。こういう中では、個人の努力がすぐに成果となって表れるということはむしろ稀なことです。

 

 

 

私は、成果に至るまでのプロセスもすごく重要だと思います。なぜなら、その時間も私たちは生きており、その瞬間瞬間がとても尊い時間だからです。成果を出すためにどんなプロセスを設計し、どのような熱量を持って取り組んだのかは、人生を豊かにする意味においてとても重要です。一方で、結果のことを考えすぎるとそれがブレーキになることもあります。結果を意識した途端、私たちの筋肉や脳みそは硬直し、本来のパフォーマンスが出せなくなります。

 

 

 

私ごとで恐縮ですが、私はときどきセミナー講師として商工会議所や金融機関から呼ばれることがありますが、その際、参加者にアンケート用紙を配り、セミナー受講の感想を聞くことがあります。セミナーが始まる前にそのアンケート用紙を目にすると「良い結果を出さなくちゃ」と考えはじめ、急に緊張感が高まり、脳みそや身体が硬直し始めるのを感じます。これではパフォーマンスが落ちてしまいます。ですからセミナーの時は、結果は考えず、目の前のお客様に対して、今できる最高のものを段取り通りに出すことだけに集中します。そうすることでリラックスでき、本来の自分に戻ることができます。

 

 

 

天才に生まれて、本当に何の努力もなく大きな成果を出してしまった人がいたとして、私たちの生き方と何の関係ありません。その人の才能や目の付け所などは賞賛すべきですが、だからといって私たちが自己の才能の無さを嘆き、それを理由にプロセスに取り組むことを放棄してよいことにはなりません。

 

 

 

大きな成果を出し、みんなが「天才だ」と賞賛されても、「いや、コツコツ積み重ねてきたからこそ、達成できたのだ。本当に途中であきらめなくて良かった」と言っている人の言葉に私たちは耳を傾け、同じスピリットを持って自分の目標とプロセスに取り組むその時間にこそ生きる意味があるし、本当の充実感というものが宿るのです。

 

 

 

報われない努力は無駄なのか

 

 

本屋へ行くと、本を売りたいがために、「報われない努力はするな」というような、コツコツ積み重ねている人を笑うような、プロセスを無視し、結果のみを重視するようなタイトルの本が並んでいます。つまり「儲けた奴が勝ち」主義。

 

 

 

こういうタイトルをつけると、努力したくない大勢の人を惹きつけることができます。人間はしょせん面倒くさがりなので、「努力しなくてもいい」「努力する奴はバカ」という言葉に強烈に反応します。

 

 

 

 

努力が報われるのか、それとも報われないのか、先のことは分かりません。ただ、今やるべきことをやるだけ。それを繰り返しながら改善を重ね、ベストなやり方に磨き上げ、それをまた積み重ねる。決して盲目的に頑張れと言っているのではなく、積み重ねることを軽んじてはいけない、と言いたいのです。

 

 

 

一生懸命勉強してテストを受けたがダメだった人はカッコ悪いのでしょうか。その努力は無駄だったのでしょうか。報われないのでしょうか。

 

 

 

「コツコツ流」では、努力しているそのプロセスこそ、意味があると考えます。それは必ず未来につながる。何より、そのプロセスは自分自身と対話する貴重な時間であり、魅力的な人間に成長するための必要な時間なのです。そこに私たちは気づくべきなのです。

 

 

 

人間が生きる意味は、「昨日よりもマシな人間になること」と言ったのは稲森和夫氏。つまり昨日の自分より1ミリでも成長することこそ、我々が生きる意味であり目的なのだ、と。

 

 

 

コツコツを笑う人は、生きる意味を見いだせない。

 

 

 

コツコツ、いきましょう。

 

 

~コツコツ流のオキテ その二十四~

★コツコツを笑うやつを、笑え

 

 

【11月の定例セミナー】
50回目の節目の回となるレイマック・セミナーを開催します。

今回のテーマは、
共感時代のコツコツ流仕事術

結局成果を上げている人は、コツコツと日々の改善を積み上げた人。
でも続けることって意外と難しい。

メルマガ700週間連続、会報誌発行121ケ月連続、自主開催セミナー50回のレイマック豊田が、
コツコツ続けるコツをお話するセミナーです。

第50回レイマッククラブセミナー
【テーマ】「共感の時代のコツコツ流仕事術」
【日時】2018年11月27日(火) 19時~20時45分(18時半受付開始)
【場所】ウインクあいち 1207 名古屋市中村区名駅4-4-38
【料金】5000円(税込み)レイマッククラブ会員は2000円
※友割あり(ペアで参加されますと、各お客様1000円オフ。但し初参加の方のみ
【定員】50名
【懇親会】予算別途3000円くらいです。

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http://raymac.jp/20181127-2/

 

 

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