2019/06/08
菊池雄星も中村俊輔も紙に書くことで大きくなった
目標を紙に書くと実現する
2019年がもうすぐ半分が終わろうとしています。
「今年が半分終わる」と言われると少し焦りみたいなものを感じますが、とにかく月日が流れるのは早い。かつ年々早くなる。そして「もう6月だけど、こんな調子で今年の目標を達成できるのだろうか」と思い始める。さらに「いや、そもそも今年の目標って何だっけ?」と首をかしげる。立てたことは覚えているけど、どんなことだったかは、もうすっかり忘れてしまっている・・・。こんな感じで、毎年、1年が過ぎていく。
だから目標は紙に書くといい、と言われるのかもしれません。なぜなら紙に書いて、それを壁に貼ったり持ち歩いたりして、常に見えるようにしておけば、目標を忘れなくて済むから。「目標が達成できない最大の理由は、目標を忘れてしまうからである」としたり顔で言う識者がいますが、おそらく、それは当たっているのでしょう。
「目標を紙に書くと実現する」と言ったのは経営コンサルタントの神田昌典氏。ベストセラーの著書『非常識な成功法則』(フォレスト出版)の中で語られたその内容を読んだとき、私は少なからず驚きました。目標を紙に書くだけで実現するなんて、本当なのだろうか。
神田さんは、「朝晩、紙に書いた目標を眺め、ニタニタする」だけでいい、と言っています。そしてそれを習慣にする。脳の潜在意識にその目標を記憶させると、意識せずとも目標達成の方向に思考が働き、それに向かって自然に行動するようになる。ゆえに紙に書くと目標は実現するのだ、というメカニズム。
このことは自己啓発界のレジェンド、ナポレオン・ヒルの著書『思考は現実化する』の中にも出てきます。
「願望実現のための6か条」がそれです。引用します。
【願望実現のための6か条】
1.あなたが実現したいと思う願望を「はっきり」させること。単にお金がたくさん欲しいなどというような願望設定は、まったく無意味なことである。
2.実現したいと望むものを得るために、あなたはその代わりに何を“差し出す”のか決めること。この世界は代償を必要としない報酬など存在しない。
3.あなたが実現したいと思っている願望を取得する「最終期限」を決めること。
4.願望実現のための詳細な計画を立てること。そして、まだ その準備ができていなくても、迷わずにすぐに行動に移ること。
5.実現したい具体的願望、そのための代償、最終期限、そして詳細な計画、以上の4点を紙に詳しく書くこと。
6.紙に書いたこの宣言を、1日2回、起床直後と就寝直前に、なるべく大きな声で読むこと。このとき、あなたはもうすでにその願望を実現したものと考え、そう自分に信じこませることが大切である。
この6か条の5と6の部分に、紙に書いて、それを毎日読むことが推奨されています。とにかく願望や目標を明文化し、それを忘れないように毎日見て、声に出して読んで、潜在意識に刷り込みなさい、とナポレオン博士も神田氏も言っているのです。
成功者は日記を書いている
スポーツ選手が日記をつけることで目標を達成した、という話はよく耳にします。メジャーリーグのシアトル・マリナーズで活躍する菊池雄星選手もその一人。
菊池選手の『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋)を読むと、紙に書くことの重要性がたくさん書かれています。
菊池選手は花巻東高校時代の恩師・佐々木洋監督から「成功者はみんな日記を書いている」と勧められたことをきっかけにノートを書き始めます。それから日記を書くことが習慣となり、現在も続けているそうです。この習慣が菊池選手をプロ野球選手にし、メジャーリーガーへと導いたのです。
菊池選手の本を読むと、目標を明確にノートに書くことの重要性がよく理解できます。さらに、「目標に近づくために、今日やるべきことをやれたのか?」について、ノートに書いて振り返ることが何よりも大切なのだ、と気づかされます。
本の中で菊池選手はこう言っています。
「書くことで自分自身と向き合うきっかけが生まれる」
「書くことによって、自分の気持ちを整理することができる」
「自分と向き合うというのはものすごく大事だと思います。その時間を作っていないと、気づかないうちに、進むべき方向がズレていくからです」
毎日ノートに書くことで、毎日自分と向き合い、心の中を整理していく。これを習慣化していることが、菊池選手の強さの秘密なのです。
中村俊輔選手も書いている
菊池選手だけでなく、多くのスポーツ選手がノートに書くことの重要性について教えてくれています。
例えばサッカーの中村俊輔選手。
中村選手もノートで常に自分の練習やプレーを振り返っていたそうです。その内容は『夢をかなえるサッカーノート』(文藝春秋)で明らかにされました。
横浜Fマリノス、日本代表の他イタリア、スペイン、スコットランドなどのチームで活躍した中村選手は、ノートに書いてある目標のほとんどを達成したと言います。また「静かな空間でひとりノートに向き合う時間、それが僕の人格を育ててきたのかもしれない」とも言っています。
またスキーモーグルの元日本代表である上村愛子選手は、練習ノートをつけ始めた途端、成績が伸び始めたのだそうです
また、横浜ベイスターズの筒香選手は、テレビのインタビューに答え、毎日4時間の「振り返り」を行っていることを明らかにしました。紙に書いているかどうかまでは分かりませんでしたが、おそらく書いているでしょう。
スポーツ選手たちの例から見えてくるのは、目標を紙に書いて明確にすること以上に、それに向かって、今日をきちんと生きたか?やるべきことをやったか?反省すべきことは何か?明日の行動に取り入れることは何か?という「振り返り」を重視していることです。
スポーツ選手は普通のビジネスマンに比べて現役期間が短い。だから何をどうやるかをしっかり決めておかないと、目標に到達する前に旬が過ぎてしまう。ゆえに毎日をしっかり振り返り、明日に備えるということをシビアにやる必要がある。そのために「紙に書くこと」がとても有効なのだと考え、実行しているのだと思います。
当然これはスポーツ選手に限りません。我々ビジネス界に身を置くものであっても、毎日を振り返り、「目標に向かって行動できたか?」と反省することは、明日を充実させるためにとても重要であることに変わりはありません。
もしかしたら、こういうことをきっちりやるかどうかで小さな差が生まれ、それが数年後には大きな差となるのかもしれません。一流と二流の差は、「紙に書いているか、いないか」の差かもしれない、とさえ思えてきます。それくらい、紙に書くということは大事なのだと思います。
スマホか、紙か
紙に書くことの重要性について考えるとき、紙じゃなくて、スマホやパソコンに入力してもいいのか?という疑問を持つ人がいます。
これに関してはどちらが好きか?という問題でもあるので、個人の好みで良いと思います。
但し、個人的な私の好みで言えば、絶対に紙に書く方を薦めます。もちろんスマホのメモ帳に書き込んだりもしますが、アイデアをまとめたり、反省の日記を書いたりするのはもっぱら紙の上です。なぜなら紙にペンや鉛筆で書く、という行為そのものが、脳みそに刷り込んだり意を固めるのにとても役に立っていると感じるからです。
紙に書くことで「体に入れる」という感覚が生まれてきます。また、紙に絵や図を描くことで、イメージをビジュアル化することができます。中村俊輔選手も、ゴールのイメージを絵に描いておいたら、その通りのゴールが生まれた、と書いています。
野球が好きな人って、野球というゲームが好きだという面があるのと同時に、ボールをグローブで「パシーン」と受ける感触や、バットで「カキーン」と打つ感触そのものが好き、という面があると思います。
僕はサッカーとゴルフが好きですが、サッカーもゴルフも、ボールを蹴る感触、ボールをクラブで打つ感触そのものが好きなんです。これ、動物的な感覚というような、身体で感じる喜びなんですね。ゲーム的な面白さではなく、感覚的に、動物的に全身で感じる「気持ち良さ」なんですね。
紙に書くという行為もこれと同じことを感じます。ペンや鉛筆が紙に触れる感覚。自分のキャラクターが現れるような筆跡。理想とするイメージを絵や図に書いて組み立てていくワクワク感。それらそのものが心地よく、だからこそ体に入りやすくなるのだと思います。デジタルの画面上では感じられない肌感覚が、脳みそに大きな刺激を与えるのかもしれません。
自分の目標を紙に書き、毎日眺め、声に出して読む。そして一日の終わりに振り返り、それを紙に書きとめる。
ペンや鉛筆で紙に書く感触を体で感じ、体に染み込ませる。自分の気持ちの表れのような自筆を眺め、自分自身を俯瞰する。こういういわばアナログな時間をしっかりと取ることが、このデジタル化し、慌ただしく過ぎていく世の中で、自分を見失わないためにはとても重要なのだ、と最近、強く思うのです。
紙とペンを持って、コツコツ流で行きましょう。
~コツコツ流のオキテ その二十六~
★目標を紙に書いて、毎日眺め、振り返る
2018/03/12
「小さなことをコツコツやっているだけ」~カズは走り続ける~
「キングカズを見に行こう」
サッカーに興味を持ち始めた小1の息子を誘い出し、51歳のJリーガー、三浦知良選手を見てきました。
去る2018年3月3日、岐阜の長良川競技場で行なわれたFC岐阜対横浜FC戦。そう遠くはないカズの引退の日が来る前に、今年は絶対に見にこうと決めていた一戦です。
ひたすら準備するキング
スタジアムに入り、すぐカズ選手を探す。しかし、メインスタンドに入った僕たちとは反対側のバックスタンド側でカズ選手は練習していたため、ほとんど見えない。しかししばらくするとカズ選手はメイン側に移動してきて、ひたすらダッシュを繰り返し始めました。時折、個人トレーナーと思われる人と言葉を交わし、また走り出す。今日の体の調子を確かめるように、何度も何度もただ一人、ダッシュを続けていました。
試合前のセレモニーが終わり、いよいよ試合開始。しかしカズ選手は出ない。開幕戦に続き、今日の試合もベンチスタート。今日も出ないのか?嫌な予感。
そんな僕の心配もよそに、試合中もカズ選手はアップを続けます。出番が来ると信じて。
試合を見つつ、カズ選手のアップの様子からも目が離せません。
そしてカズ選手がようやくピッチに投入されたのは、後半も残り5分を切ったところ。勢いよく飛び出し、走り回るが、ボールが回ってこない。そして一度もボールに触ることなく、試合終了。シュートゼロ。パスもゼロ。さすがに短すぎます。
試合後、観客席の前まで挨拶に来てくれたカズ選手の表情からは無念さがにじみ出ていました。残念です。その悔しそうな姿を、目に焼き付けて、僕たちは帰途につきました。
カズ外し事件
10代でブラジルでプロ契約し、現在プロ33年目。日本ではもちろん世界を見渡しても、51歳でプロ契約しているサッカー選手はいません。まさにレジェンド。まさにキング。その偉大さはサッカー界はもちろん、日本中の人が、そして世界の人たちからリスペクトされています。
しかし、カズ選手がフランスワールドカップの予選を戦っていたころ既に、日本人はカズ選手のことを峠を越えた選手として見ていたのではないでしょうか。そう、僕自身も、実はそう思っていました。
ピリピリした予選リーグの中で、カズ選手にボ―ルが渡っても、以前ほど期待感が持てませんでした。試合に出ている他の選手に比べて、スピードで見劣りし、置いて行かれる。フェイントにも切れが無く、相手を振り切ることができない。
いつしか人々は、試合に出ているカズに見切りをつけ、「カズを代えてくれ」と思うようになりました。今、カズ選手を尊敬してやまない僕自身も、当時は「カズではワールドカップを戦えない」と、生意気にも思っていました。
だから、当時の日本代表の岡田監督がフランス大会の寸前でメンバーからカズ選手を外した時「功労者に何という無礼を」とは思ったものの、「戦力として判断するなら、それも仕方ない」と妙に納得してしまった自分がいました。
この「カズ外し事件」は、サッカー界、スポーツ界はもちろん、マスコミも大騒ぎし、金髪にして会見場に現れたことも合わせて、僕たち日本人にとても大きなインパクトを残した出来事でした。
しかし、カズが「大きな功績を残した偉大なサッカー選手」としてだけではなく、1人の仕事人として「レジェンド」とまで言われ、多くの人に尊敬されるような存在になったのは、このカズ外し事件から後のカズ選手の生き方にあったと僕は思います。
サッカーと人生を楽しむ
「日本とは違うところでゼロからやりたかった」と考えたカズ選手は、クロアチアのディナモ・ザグレブというチームに移籍します。ザグレブにいたのはわずか8カ月でしたが、チームメートのゴラン・ユーリッチという選手に出会い、大きな影響を受けたと言います。
「クロアチアで生活した8カ月はいま僕がサッカーを続けていることにつながる大きな分岐点だったと思う」
「ゴラン・ユーリッチという選手に会って、サッカーを楽しむと同時に人生を楽しむことを学んだんです。彼がオフの使い方、ファッションや食、生きる姿勢、そんなものを見せてくれて、サッカー選手として大人にしてくれたんです」
クロアチアから戻ったカズは、ヴィッセル神戸を経て横浜FCに移籍し、現在に至ります。その間、日本代表に呼ばれたこともありましたが、今までのところ、ワールドカップへの出場は果たしていません。
「小さなことをコツコツやってるだけ」
横浜FC に移籍した時が38歳。普通の選手ならば、引退している年齢。それから40を超え、45を超え、とうとう50歳を超えても現役を続けている。当然、プロとして先発フル出場ができるための体作りは半端な努力ではない。毎日毎日、信じられないくらいのストイックな生活をし、厳しいトレーニングを自分に課していることは、何度もマスコミで報じられ、驚きを持って僕たちに伝えられます。
カズ選手は言う。「小さなことをコツコツやっているだけ」(AERA STYLE MAGAZINE)
妥協のない1分1秒を積み重ねて、体を作る。すべてはサッカーのため。
なぜ、カズ選手は51歳にして、現役のプロサッカー選手を続けられるのか。何が、カズ選手を駆り立て、厳しくストイックなトレーニングを何年も続けさせるのか?
サッカーが好きなことはもちろん。
「一生懸命やることこそが楽しい」と考えている人なのだと思います。中途半端にやりたくない。一生懸命やるからサッカーは楽しい。そして一生懸命に取り組めるものがあることに感謝し、日々積み重ねる。
カズ選手は言う。
「とにかく今日が大事で、昨日は関係ない。今日、いま、自分の力を見せるのが大切なことで、昨日は関係ないんです」
大きな実績を残したスーパースターが、昨日は関係ない、問題は今日だ、と言う。そして今日、地道なことをコツコツ繰り返し、積み重ね、明日に備えている。こういう姿に、僕たち仕事人は、胸を打たれる。
自分を信じる
自分は自分の仕事が好きか。その仕事に一生懸命に取り組んでいるか。その一生懸命で地道なコツコツを、楽しんでいるか。それ自体を楽しめているか。
カズ選手の存在そのものが、こういう質問を僕たちにぶつけてくる。そして、それを高いレベルでやり切っているカズ選手に、僕たちは勇気づけられている。
カズ選手がキングとかレジェンドとか言われるのは、偉大な功績があるからだけではありません。偉大な功績があるにもかかわらず、そんなものは過去のものだよと言い、ただひたすら目の前の「いま」に集中できる人だからレジェンドなのです。そんな気がします。
偉大な人が、今日も人知れず、小さなことを毎日コツコツ積み重ねている。僕たち凡人が、コツコツ積み重ねず、どうする?
カズ選手を見て笑う人。あるいは何も感じない人。こういう人は、自分を信じられない人なんじゃないかな。自分を信じたいと思っている人は、自分とカズ選手を重ね合わせ、そこに自分のあるべき姿を見て、心打たれ、明日からの糧にする。カズ選手をリスペクトする人が多いということは、自分を信じられる人が多いということ。そういう日本は、素晴らしいと思う。
試合終了後の無念そうな顔。もっと時間を与えられれば、もっとやれるのに。あるいはカズ選手のことだから、監督の信頼を勝ち得ていない自分の「足りなさ」について考え、じゃあどうすれば監督に認めてもらえるのかについて考えているに違いありません。
そしてカズ選手は、すぐに次の試合に向けての準備に入るのだと思います。やるべきことをただひたすら繰り返す。
簡単にはいかないから、のめり込む。だからサッカーはやめられない。こんな風につぶやきながら、練習に戻るのだと思います。
~コツコツ流のオキテ その二十二~
一生懸命やるから、仕事は楽しくなる
2017/11/30
私、失敗しないので(ゴルフ・鈴木愛)
2017年の女子ゴルフツアーは鈴木愛選手が賞金女王を勝ち取り、シーズンを終えました。
日本人選手の賞金女王獲得は4年ぶり。本人が「外国勢には負けたくない」というのと同じく、僕たち日本人のファンにとっても嬉しいニュースでした。
一番強い選手が、一番練習している
鈴木選手の強さは、パッティングの上手さにあると言われています。
最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップ・リコーカップ」最終日の18番ホール。鈴木選手は最後のパーパットを「ドン!」と決めて終えました。まさに鈴木流強気のパットで、女王にふさわしい締めくくりの一打でした。
その鈴木選手。以前は練習嫌いで試合が終わるとそそくさと帰ってしまう選手だったそうです。当然その頃の成績はパッとしない。
見かねたスタッフがその甘さを指摘したことがきっかけで、改心。現在は「練習の虫」と言われるほど、一番最後まで練習グリーンでパッティングを練習しているのだそうです。
賞金女王にになった、言わば「一番強い選手」が一番練習している。練習しているから強いのか。強いから練習するのか。ほかの選手はどうしているのか。
「私、失敗しないので」
パッティングは打ったボールがカップに届かないと入りません。しかしカップをオーバーし過ぎると、返しのパットが難しくなりスコアを崩す可能性があるので、なかなか強く打てない選手も多い。
そんな中、鈴木選手はドン!と打つ。1、2メートルほど平然とオーバーさせ、返しのパットを必ず入れる。ほとんど失敗しない。
このことを記者が質問すると、鈴木選手は「練習したので。あれくらいは入れないと勝てない」と答えました。(日本経済新聞 2017年11月20日)
つまり、「私、失敗しないので」と言っている。なぜなら、めちゃくちゃ練習しているから。
人気ドラマ「ドクターX」の主人公、米倉涼子演じるフリーの外科医・大門未知子の決め台詞と同じ「私、失敗しないので」。大門未知子も、相当な量の練習と経験を積み重ねているから、「失敗しない」と言い切れるのでしょう(架空の人物ですが、本当にカッコイイ)。
「私は失敗しない」と言い切れるだけの練習量。誰もいない練習場で1人でコツコツ積み上げている鈴木選手。その練習量がスキルを高め、さらにコツコツ積み重ね、賞金女王を勝ち取りました。
ゴルフの才能があったことに疑いはありません。しかし、コツコツを積み重ねなければ開花しなかったかもしれません。ましてや賞金女王のタイトルなんて。
そして、
それよりも何よりも、一番強い選手が一番練習している、という事実を、我々は真摯に受け止めなければなりません。
「自信」というギフトが贈られる
世の中では、「ワークライフバランス」が叫ばれ、残業が悪のように扱われている。長時間労働を強いられた社員が自殺したり、過労死したりしてしまうことが社会問題化しました。日本人の生産性は欧米の先進国に比べて低い。もっと工夫して、もっと効率的に働かなければならないという圧力もかかります。
僕も長時間労働はしたくないし、するべきではないと思っています。家族との時間も大事にしたいし、体を休める時間も必要。
しかし、もし自分に、「どうしてもやり遂げたい目標」があるならば話は別。「効率」を重視し過ぎて、やるべきことをやらずにショートカットばかり狙っていると、「スキル」も「達成」も永遠に手に入らない、と僕は思う。
意思の問題。
自分の意思に関係なく、誰かの目標やノルマのためにやらされている時、僕たちは3倍疲れる。精神的にも追いつめられる。でも、自分の意思で、自分の目標に向かう時、エネルギーが湧いて来る。肉体的には疲れるかもしれないが、精神は充実感で満ちている。
自分の意思で、目標達成にコミットし、やるべき練習・仕事をやり続けているとき、そこに「自信」というギフトが贈られる。
その自信が「私、失敗しないので」と言わせてくれる。その自信がスキルをさらに高め、周りの人の注目を集める。
チャンピオンはさらに強くなる
ボクシングの元チャンピオンが言っていました。
「チャンピオンになるとさらに強くなる。なぜなら、自信が備わるから。」と。
練習の積み重ねで得た自信を武器に鈴木選手が女子ゴルフのチャンピオンになりました。チャンピオンは、チャンピオンになったことにより、さらに強くなる。来シーズンの鈴木選手の活躍が今から楽しみです。
さて、僕たち凡人は、鈴木選手から何を学ぶか。
「才能がある人だからできたのだ。自分は違う」と言って無視するのか。あるいは「長時間労働は時代に合わない。もっと効率化を目指すべきだ」と切り捨てるのか。
それとも「私、失敗しないので」と言い切れるくらい、量を積み重ね、自信をつけるのか。
すべて自分次第。
一番強い選手が一番練習している。涙が出るくらい、すごい事実。
鈴木選手の雄姿をテレビで見ながら、エネルギーが湧いてきました。
~コツコツ流のオキテ その十九~
コツコツと積み重ねる人に「自信」というギフトが贈られる。
2017/10/31
ほとんどの人は努力を続けられへん。(本田圭佑)
サッカー日本代表の本田圭佑選手。ぶっきらぼうな印象のその奥に、しっかりとした軸を持っている人。サッカー選手としてはもちろん、「努力を積み重ねている人」として、とても惹かれます。
サッカー選手として、人並み以上の才能があることは疑いがありません。それは、日本代表として、またヨーロッパの名門チームでの実績が物語っています。
夢を実現させた男
本田選手は足が速くない。スピードで相手を置き去りにするタイプではありません。強いフィジカルを活かして相手を背負いながら、それでも巧みにボールをキープし、起点になり、キラーパスを出せる。そして強烈なシュートを相手ゴールに突き刺す。そんな選手です。
ガンバ大阪のジュニアユース時代にはスタミナもなく、ユースチームへの昇格は見送られたそうです。かつてはスピードもスタミナも無い選手と見なされ、ステップアップの道を閉ざされたのです。
小学生の卒業文集では「セリエAに入団し10番で活躍する」と書いた本田少年は、その後成長し、セリエAの名門チーム、ACミランに入団し10番をつけたことで夢を実現しました。イチロー選手もそうですが、小さい頃から夢を明確に持ち、その実現に向けて突き進む姿勢は、スーパースターになる人の1つの特長なのかもしれません。
そして本田選手も、イチロー選手と同じように、努力を続けることの重要性を説いています。
「努力が人よりも続けられる人は必ず成功する。そして努力の方法が分かっている人は大きく成功できる。理由は簡単で、ほとんどの人が努力を続けられへんから。そして努力を続けられへんのは、目的がないか、目的を見失っているから」(twitterより)
恐らく本田選手は、スピードやスタミナに恵まれたライバルたちに勝つために、目的を明確にし、常に努力を続けてきた人なのだと思います。自身が経営する小学生向けサッカースクールでは、「才能とは生まれ持ったものではなく、環境によって磨き上げられるもの。大きな夢を持ち、物事がうまくいかなかった時にも心の折れない人材を育成し、才能を開花させるために必要な環境、機会を与える」というミッションを掲げています。ここにも、「才能ではなく努力と継続が重要だ」という本田選手の思いが表れています。
才能は、放っておくとそのまま日の目を見ない。努力を積み重ねることで才能は開花する。
一喜一憂してはいけない
また本田選手は、目的を持つことは重要だが、「自分を不必要に追い込むな」とも言っています。これは、若い世代の自殺者数に絡めて発言したものです。
成功かどうかは、自分の基準でいい。周りの基準に振り回されて、自分を追い込む必要なんてないんだよ、というメッセージ。
つまり、自分でOKだと言えるかどうかが大事。周りからの評価とか誰かとの比較ではなく、今、自分がすべきことを100%やればいいのだ、と。
だから、一喜一憂しない。うまくいったら喜ぶけど、喜び過ぎない。喜びすぎると、ダメだったときの落ち込み幅も大きくなります。この上下の振れが大きいと、継続するのが難しくなります。落ち込んでいる間はパフォーマンスも落ちます。それがさらなる精神的な落ち込みを招きます。
一喜一憂せずに、淡々とやるべきことを続ける。淡々とやれる人が一番強い。地味な毎日の積み重ねが、自分を目的地に連れてってくれる。それは自分がOKだと決めた地点でいい。
本田選手は「メンタルが強い」と評されますが、一喜一憂せず、ひたすら目的に向かって努力を積み重ねられる姿が、そう周りに言わせるのだと思います。
努力を積み重ねる
現在はメキシコのチームで活躍中の本田選手ですが、ビジネスマンとしての顔も持ち、今後の彼の活動にはとても興味が湧きます。
ビジネスの世界でも、本田選手の「目的に向かって努力を積み重ねる」スタイルは、大きな成果を生むに違いありません。
そのスタイルには、本当に惹かれます。
~コツコツ流のオキテ その十八~
努力を人よりも続けられる人は必ず成功する
2017/04/27
【必読】やり切る才能の人・浅田真央
浅田真央さんは、「伊藤みどりさんのようにトリプルアクセルが飛びたい」と思って夢を追ってきたそうです。
この2人は、「トリプルアクセルにこだわる」という点で共通していました。そして、だからこそ惹かれ合っていたのだと思います。
その憧れの伊藤みどりさんと浅田さんは、浅田さんが休養中だった2015年4月に対談しました。そのとき浅田さんは伊藤さんに質問しました。
「みどりさんは引退後、またやりたいと思いましたか?」
伊藤さんは「後悔が残らないことをやるべき。選手として続けたいならやった方が良いし、違う形でスケートに関わるのも道だよ」と答えました。
そして最後に、「継続は力なり」という言葉を贈りました。
浅田さんは笑顔になり、「みどりさんに今後の人生で大切な言葉を頂いて、心強いです」と言ったそうです。
稀有な努力家
ジュニアの頃、浅田さんは、伊藤さんから譲られた衣装を着て大会に出ていたそうです。後輩に衣装を譲るのは、当時2人が師事していた山田満知子コーチの方針だったそうです。
「スケートの目的は単に試合に勝つことではなく、努力する大切さ、持ち味や個性を生かす生き方、人を敬う精神などを身につけること」という山田コーチの信条を、衣装とともに後輩に引き継ぐのが慣例だったのだそうです。
浅田真央さんは天から与えられた才能を持ち、皆に広く愛される容姿を兼ね備えていました。そして、稀有な努力家でもあった。だからこそ、偉大なアスリートに成長したのだと思います。
継続して努力することの大切さ。それを浅田さんは、伊藤みどりさんや山田コーチから学び、自身も身をもってその重要性を体感してきたのだと思います。
好きなことを、やり切る
フィギュアスケートの試合を見ていると、超一流選手が転倒するシーンを時々見かけます。それくらい、繊細な技と体力を要するスポーツなんだと思います。その裏には、とんでもない量の練習の積み重ねがあるのだと思います。
浅田さんはスケートが大好きで競技の世界に入り、好きだから練習をし続け、さらに成長し、結果を出してきた。しかし大人になるにつれ、プレッシャーもきつくなってくる。スケートは「好き」ではあるけれど、好きだけではどうしようもないくらい大変なことも出てきます。
浅田さんのもうひとつの強さは「一度掲げた目標は最後までやり切る」人だったことです。やり切ったと思えるまでやることが、好きな人だったんだと思います。スケートが好きで、やり切ることが好き。途中で投げ出す自分は大嫌い。だから、この天才スケーターは、努力を積み重ね、成長し続けることができたのだと思います。そして、それを見てきた僕たちは、みんな彼女のファンになったのです。
26歳での引退。
浅田さんは、「やり切った」と思えたに違いない。
好きなことで目標を掲げ、それをやり切れる人。やり切ったと思えるくらい努力を積み重ねられる人。やり切ったと胸を張って答えられる何かを持っている人。
これほど素晴らしい生き方はない。
僕も、そういう人生を送りたい、と思います。
あなたはどうですか?
※参考『ナンバー5/5特別増刊号 永久保存版 浅田真央』
~コツコツ流のオキテ その九~
好きなことで目標を掲げ、それをやり切った先に、幸福な人生がある。
2017/03/31
【思考】筒香選手に学ぶ『自分との対話』の積み重ね
4時間の思考タイム
準決勝で敗退したWBCの侍ジャパン。優勝を期待していた人も多かったと思います。
正直、私は野球のことはあまり知らなくて、選手の名前もほとんど知りません。しかし、その中でただ一人、私が注目している選手がいます。
その名は筒香嘉智。
侍ジャパンの4番打者であり、所属チームのベイスターズでも中心選手です。年棒は3億円(推定)。自身の憧れの存在である松井“ゴジラ”秀樹やイチロー選手のように、将来はメジャーリーガーになる人だと思います。
そんな筒香選手が、あるニュース番組のインタビューで話していたことが衝撃的で、テレビにクギ付けになりました。(この映像がきっかけで「気になる存在」になったのです)
それは、キャンプ中の1日の過ごし方について、円グラフ(本人の手書き)で本人が説明するシーンでした。
朝から練習、筋トレなどのメニューをこなすのはプロアスリートとして当然なんですが、驚くのが、練習が終わった後に部屋で一人、「思考タイム」に入るというじゃないですか。
何?それ。
その思考タイム、夜10時から2時までの4時間もやる。
4時間、思考するのだそうです。
しかもその4時間が「あっという間に過ぎる」と言うのです。
何をどう思考するのかにすごく興味が湧くのですが、残念ながらそれについては明らかにされませんでした。
想像ですが、理想とする選手あるいは自分の理想の状態を目標(ターゲット)にして、現在の自分とどれくらいギャップがあるのかを分析し、そのギャップを埋める方法について思考しているのではないでしょうか。
そのギャップを埋めるために、今日の練習方法で良いのか。変えるべきことはあるか?もっと良い方法があるとしたらどんなことか?明日は何をどう改善するか?進むべき方向はターゲットに向かっているか・・・。
自分との対話。それを4時間かけてやる。それがあっという間に過ぎるというから、相当高い集中状態でやっているのでしょう。
敏腕営業マンの”素振り”
コツコツを積み重ねることは大事ですが、自分が向かうターゲットに向けてコツコツしないと、望む結果が得られません。だから、今積み重ねている努力が正しい努力なのかを常に監視しておくことは重要です。自分との対話です。これはコツコツ流でも何度もお伝えしていることです。
京セラのコピー機の販売コンテストで全国1位を2回、2位を1回とった経験のあるメモリー株式会社の中村憲広社長も、自分との対話を大事にしている人です。その秘訣を実際に聞いてみたところ、
「最初は私も売れなかった。ですから、一軒訪問する度に、今回の商談は何がダメだったのか、どうすべきだったのかを丁寧に振り返りました。それをひたすら繰り返します。素振りですね。イメージしながら素振りをし、実際に打席に立ち、振り返り、また素振りをする。売れなかった時だけじゃなく、売れた時もなぜ売れたのかを振り返り、組み立てて、素振りをして身に着けるんです」と中村社長。
これを繰り返しながら、何百社何千社も会社を訪問していると、顧客の事務所に入った瞬間に、売れるかどうか分かるようになってくるそうです。「こういう事務所で働く人たちは、こういう考えを持っている」ということが分かるのだそうです。だからトークをこういうふうに組み立てて、こうしゃべれば売れるというトークの道筋が見えるようになる。
筒香選手と中村社長。活躍するフィールドは違えど、毎日、必ず自分との対話の時間を持っているという点で共通しています。
ここに、限界突破のコツがあるんじゃないかと私は思います。
~コツコツ流のオキテ 其の五~
1日1回、自分と対話する時間を持とう。その積み重ねが才能を伸ばす。
2017/03/14
【才能とコツコツ】他人との比較じゃなく、自分の中でちょっと頑張る
ひとつのことをコツコツと続けることで、スキルは高まる。
そしてさらに続けると、目標達成や夢の実現に近づきます。
イチロー選手は、気の遠くなるような努力をコツコツ積み上げたからこそ、あのような大選手になれたのだと思います。
しかし、こういうことを言うと「いやいや。世の中にはもともと高い能力を持って生まれた「天才」がいる。イチローはもともと天才だったから成功したのだ」という反論をする人が出てきます。「だから、才能がない者が努力したって無駄だよ」と。
もし努力で夢がかなうならば、世の中成功者だらけになるじゃないか、とその人たちは言います。
イチロー選手と同じ量の努力を積み重ねたからといって、もちろん誰でもイチロー選手のようになれるわけない。
問題はそこではない。
イチロー選手にもともと高い能力があったかどうかは、問題ではない。
問題は、イチロー選手のような天才でさえコツコツと積み重ねているのに、我々凡人がコツコツ積み重ねずして成果を得ることなどできるのか、ということです。
才能の有無ではなく、仕事に取組む姿勢の問題です。
一瞬で成功する方法はない
イチロー選手には人より秀でた高い才能があり、かつ、コツコツと努力を積み重ねてきたからこそ、あのような素晴らしい成果が得られたのだと思います。
生まれつき高い才能を持っていたとしても、その上に努力を積み重ねなければ、大きな成果は得られません。
いわんや我々凡人をや、です。凡人が努力を積み上げず、どうすんねん、ということです。一瞬で成功する方法なんてあるわけがない。欲しくもない。
努力したって、全員が成功するわけじゃないだろ、と言う人は、単に自分がサボりたいだけなのだと思います。
自分の中でもう少し頑張ってみる
イチロー選手自身も、コツコツと積み重ねることの重要性を説いています。
イチロー選手は、自身が大会長を務める「イチロー杯争奪学童軟式野球」で、参加した少年たちにこう言ったそうです。(出所:Number Web 2017年2月2日配信 笹田幸嗣=文)
「今年メジャーリーグで3000というヒットを達成することができました。こういうことがあると、たくさんの人から褒めてもらえます。そして、イチローは人の2倍も3倍も頑張っているという人が結構います。
でも、そんなことは全くありません。
人の2倍とか3倍頑張ることってできないよね。みんなも頑張っているからわかると思うんだけど。頑張るとしたら自分の限界・・・自分の限界って自分で分かるよね。
その時に自分の中でもう少しだけ頑張ってみる。ということを重ねていってほしいな、というふうに思います。
みんなが今、僕を目の前にして・・・・日本のプロ野球で何年かやってアメリカに行って16年終わったんだけども、そういう目に見える結果を残したからそんなふうに言えるんじゃないかって思っているかもしれないけど、それは全く違っていて、僕もみんなと同じように野球少年だったし、ここに今日来てくれた関根選手もみんなと同じ。しかも彼は毎年、1回戦負けの選手でした。ね?みんなの方が成績がいいんだよ。現段階では。
彼もきっと人との比較ではなくて、自分の中でちょっとだけ頑張った。そのことを続けていくと、将来思ってもいなかった自分になっている。と僕は思うし、実際、僕だってメジャーリーガーになれると思っていなかったし、アメリカで3000本打てるなんてことは全く想像ができなかったんだけど、今言ったように、自分の中でちょっと頑張ってきた。
それを重ねてきたことで、今現在(の自分)になれたと実感しているので、今日はこの言葉をみんなに伝えたいと思います」
自分ができることに集中すれば良い
他人の評価ではなく、自分の中でもう少しだけ頑張ってみる。ということを重ねる。
人との比較ではなく、自分の中でちょっと頑張ることをコツコツと積み重ねることが重要なのだ、ということです。
目標に向かって努力しても、目標に達成できないかもしれない。
達成できなければ、周りは評価してくれないかもしれない。
しかし、だから努力しても無駄だとあきらめるのではなく、自分がコントロールできることに集中すればいいのです。
自分の中の限界を少し超えるくらい、コツコツと積み重ねてみる。シンプルなことを繰り返してみる。
その姿勢が重要だと思います。
~コツコツ流のオキテ その二~
他人の評価ではなく、自分の中でもう少しだけ頑張ってみる。