2019/06/08

菊池雄星も中村俊輔も紙に書くことで大きくなった
目標を紙に書くと実現する
2019年がもうすぐ半分が終わろうとしています。
「今年が半分終わる」と言われると少し焦りみたいなものを感じますが、とにかく月日が流れるのは早い。かつ年々早くなる。そして「もう6月だけど、こんな調子で今年の目標を達成できるのだろうか」と思い始める。さらに「いや、そもそも今年の目標って何だっけ?」と首をかしげる。立てたことは覚えているけど、どんなことだったかは、もうすっかり忘れてしまっている・・・。こんな感じで、毎年、1年が過ぎていく。
だから目標は紙に書くといい、と言われるのかもしれません。なぜなら紙に書いて、それを壁に貼ったり持ち歩いたりして、常に見えるようにしておけば、目標を忘れなくて済むから。「目標が達成できない最大の理由は、目標を忘れてしまうからである」としたり顔で言う識者がいますが、おそらく、それは当たっているのでしょう。
「目標を紙に書くと実現する」と言ったのは経営コンサルタントの神田昌典氏。ベストセラーの著書『非常識な成功法則』(フォレスト出版)の中で語られたその内容を読んだとき、私は少なからず驚きました。目標を紙に書くだけで実現するなんて、本当なのだろうか。
神田さんは、「朝晩、紙に書いた目標を眺め、ニタニタする」だけでいい、と言っています。そしてそれを習慣にする。脳の潜在意識にその目標を記憶させると、意識せずとも目標達成の方向に思考が働き、それに向かって自然に行動するようになる。ゆえに紙に書くと目標は実現するのだ、というメカニズム。
このことは自己啓発界のレジェンド、ナポレオン・ヒルの著書『思考は現実化する』の中にも出てきます。
「願望実現のための6か条」がそれです。引用します。
【願望実現のための6か条】
1.あなたが実現したいと思う願望を「はっきり」させること。単にお金がたくさん欲しいなどというような願望設定は、まったく無意味なことである。
2.実現したいと望むものを得るために、あなたはその代わりに何を“差し出す”のか決めること。この世界は代償を必要としない報酬など存在しない。
3.あなたが実現したいと思っている願望を取得する「最終期限」を決めること。
4.願望実現のための詳細な計画を立てること。そして、まだ その準備ができていなくても、迷わずにすぐに行動に移ること。
5.実現したい具体的願望、そのための代償、最終期限、そして詳細な計画、以上の4点を紙に詳しく書くこと。
6.紙に書いたこの宣言を、1日2回、起床直後と就寝直前に、なるべく大きな声で読むこと。このとき、あなたはもうすでにその願望を実現したものと考え、そう自分に信じこませることが大切である。
この6か条の5と6の部分に、紙に書いて、それを毎日読むことが推奨されています。とにかく願望や目標を明文化し、それを忘れないように毎日見て、声に出して読んで、潜在意識に刷り込みなさい、とナポレオン博士も神田氏も言っているのです。
成功者は日記を書いている
スポーツ選手が日記をつけることで目標を達成した、という話はよく耳にします。メジャーリーグのシアトル・マリナーズで活躍する菊池雄星選手もその一人。
菊池選手の『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋)を読むと、紙に書くことの重要性がたくさん書かれています。
菊池選手は花巻東高校時代の恩師・佐々木洋監督から「成功者はみんな日記を書いている」と勧められたことをきっかけにノートを書き始めます。それから日記を書くことが習慣となり、現在も続けているそうです。この習慣が菊池選手をプロ野球選手にし、メジャーリーガーへと導いたのです。
菊池選手の本を読むと、目標を明確にノートに書くことの重要性がよく理解できます。さらに、「目標に近づくために、今日やるべきことをやれたのか?」について、ノートに書いて振り返ることが何よりも大切なのだ、と気づかされます。
本の中で菊池選手はこう言っています。
「書くことで自分自身と向き合うきっかけが生まれる」
「書くことによって、自分の気持ちを整理することができる」
「自分と向き合うというのはものすごく大事だと思います。その時間を作っていないと、気づかないうちに、進むべき方向がズレていくからです」
毎日ノートに書くことで、毎日自分と向き合い、心の中を整理していく。これを習慣化していることが、菊池選手の強さの秘密なのです。
中村俊輔選手も書いている
菊池選手だけでなく、多くのスポーツ選手がノートに書くことの重要性について教えてくれています。
例えばサッカーの中村俊輔選手。
中村選手もノートで常に自分の練習やプレーを振り返っていたそうです。その内容は『夢をかなえるサッカーノート』(文藝春秋)で明らかにされました。
横浜Fマリノス、日本代表の他イタリア、スペイン、スコットランドなどのチームで活躍した中村選手は、ノートに書いてある目標のほとんどを達成したと言います。また「静かな空間でひとりノートに向き合う時間、それが僕の人格を育ててきたのかもしれない」とも言っています。
またスキーモーグルの元日本代表である上村愛子選手は、練習ノートをつけ始めた途端、成績が伸び始めたのだそうです
また、横浜ベイスターズの筒香選手は、テレビのインタビューに答え、毎日4時間の「振り返り」を行っていることを明らかにしました。紙に書いているかどうかまでは分かりませんでしたが、おそらく書いているでしょう。
スポーツ選手たちの例から見えてくるのは、目標を紙に書いて明確にすること以上に、それに向かって、今日をきちんと生きたか?やるべきことをやったか?反省すべきことは何か?明日の行動に取り入れることは何か?という「振り返り」を重視していることです。
スポーツ選手は普通のビジネスマンに比べて現役期間が短い。だから何をどうやるかをしっかり決めておかないと、目標に到達する前に旬が過ぎてしまう。ゆえに毎日をしっかり振り返り、明日に備えるということをシビアにやる必要がある。そのために「紙に書くこと」がとても有効なのだと考え、実行しているのだと思います。
当然これはスポーツ選手に限りません。我々ビジネス界に身を置くものであっても、毎日を振り返り、「目標に向かって行動できたか?」と反省することは、明日を充実させるためにとても重要であることに変わりはありません。
もしかしたら、こういうことをきっちりやるかどうかで小さな差が生まれ、それが数年後には大きな差となるのかもしれません。一流と二流の差は、「紙に書いているか、いないか」の差かもしれない、とさえ思えてきます。それくらい、紙に書くということは大事なのだと思います。
スマホか、紙か
紙に書くことの重要性について考えるとき、紙じゃなくて、スマホやパソコンに入力してもいいのか?という疑問を持つ人がいます。
これに関してはどちらが好きか?という問題でもあるので、個人の好みで良いと思います。
但し、個人的な私の好みで言えば、絶対に紙に書く方を薦めます。もちろんスマホのメモ帳に書き込んだりもしますが、アイデアをまとめたり、反省の日記を書いたりするのはもっぱら紙の上です。なぜなら紙にペンや鉛筆で書く、という行為そのものが、脳みそに刷り込んだり意を固めるのにとても役に立っていると感じるからです。
紙に書くことで「体に入れる」という感覚が生まれてきます。また、紙に絵や図を描くことで、イメージをビジュアル化することができます。中村俊輔選手も、ゴールのイメージを絵に描いておいたら、その通りのゴールが生まれた、と書いています。
野球が好きな人って、野球というゲームが好きだという面があるのと同時に、ボールをグローブで「パシーン」と受ける感触や、バットで「カキーン」と打つ感触そのものが好き、という面があると思います。
僕はサッカーとゴルフが好きですが、サッカーもゴルフも、ボールを蹴る感触、ボールをクラブで打つ感触そのものが好きなんです。これ、動物的な感覚というような、身体で感じる喜びなんですね。ゲーム的な面白さではなく、感覚的に、動物的に全身で感じる「気持ち良さ」なんですね。
紙に書くという行為もこれと同じことを感じます。ペンや鉛筆が紙に触れる感覚。自分のキャラクターが現れるような筆跡。理想とするイメージを絵や図に書いて組み立てていくワクワク感。それらそのものが心地よく、だからこそ体に入りやすくなるのだと思います。デジタルの画面上では感じられない肌感覚が、脳みそに大きな刺激を与えるのかもしれません。
自分の目標を紙に書き、毎日眺め、声に出して読む。そして一日の終わりに振り返り、それを紙に書きとめる。
ペンや鉛筆で紙に書く感触を体で感じ、体に染み込ませる。自分の気持ちの表れのような自筆を眺め、自分自身を俯瞰する。こういういわばアナログな時間をしっかりと取ることが、このデジタル化し、慌ただしく過ぎていく世の中で、自分を見失わないためにはとても重要なのだ、と最近、強く思うのです。
紙とペンを持って、コツコツ流で行きましょう。
~コツコツ流のオキテ その二十六~
★目標を紙に書いて、毎日眺め、振り返る