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2018/03/12

カメ 1177

「小さなことをコツコツやっているだけ」~カズは走り続ける~

 

 

 

「キングカズを見に行こう」

 

 

 

サッカーに興味を持ち始めた小1の息子を誘い出し、51歳のJリーガー、三浦知良選手を見てきました。

 

 

 

去る2018年3月3日、岐阜の長良川競技場で行なわれたFC岐阜対横浜FC戦。そう遠くはないカズの引退の日が来る前に、今年は絶対に見にこうと決めていた一戦です。

 

 

 

ひたすら準備するキング

 

 

 

スタジアムに入り、すぐカズ選手を探す。しかし、メインスタンドに入った僕たちとは反対側のバックスタンド側でカズ選手は練習していたため、ほとんど見えない。しかししばらくするとカズ選手はメイン側に移動してきて、ひたすらダッシュを繰り返し始めました。時折、個人トレーナーと思われる人と言葉を交わし、また走り出す。今日の体の調子を確かめるように、何度も何度もただ一人、ダッシュを続けていました。

 

 

 

試合前のセレモニーが終わり、いよいよ試合開始。しかしカズ選手は出ない。開幕戦に続き、今日の試合もベンチスタート。今日も出ないのか?嫌な予感。

 

 

 

 

そんな僕の心配もよそに、試合中もカズ選手はアップを続けます。出番が来ると信じて。

 

 

 

 

試合を見つつ、カズ選手のアップの様子からも目が離せません。

 

 

 

そしてカズ選手がようやくピッチに投入されたのは、後半も残り5分を切ったところ。勢いよく飛び出し、走り回るが、ボールが回ってこない。そして一度もボールに触ることなく、試合終了。シュートゼロ。パスもゼロ。さすがに短すぎます。

 

 

 

 

試合後、観客席の前まで挨拶に来てくれたカズ選手の表情からは無念さがにじみ出ていました。残念です。その悔しそうな姿を、目に焼き付けて、僕たちは帰途につきました。

 

 

 

カズ外し事件

 

 

 

10代でブラジルでプロ契約し、現在プロ33年目。日本ではもちろん世界を見渡しても、51歳でプロ契約しているサッカー選手はいません。まさにレジェンド。まさにキング。その偉大さはサッカー界はもちろん、日本中の人が、そして世界の人たちからリスペクトされています。

 

 

 

 

しかし、カズ選手がフランスワールドカップの予選を戦っていたころ既に、日本人はカズ選手のことを峠を越えた選手として見ていたのではないでしょうか。そう、僕自身も、実はそう思っていました。

 

 

 

 

ピリピリした予選リーグの中で、カズ選手にボ―ルが渡っても、以前ほど期待感が持てませんでした。試合に出ている他の選手に比べて、スピードで見劣りし、置いて行かれる。フェイントにも切れが無く、相手を振り切ることができない。

 

 

 

 

いつしか人々は、試合に出ているカズに見切りをつけ、「カズを代えてくれ」と思うようになりました。今、カズ選手を尊敬してやまない僕自身も、当時は「カズではワールドカップを戦えない」と、生意気にも思っていました。

 

 

 

 

だから、当時の日本代表の岡田監督がフランス大会の寸前でメンバーからカズ選手を外した時「功労者に何という無礼を」とは思ったものの、「戦力として判断するなら、それも仕方ない」と妙に納得してしまった自分がいました。

 

 

 

 

この「カズ外し事件」は、サッカー界、スポーツ界はもちろん、マスコミも大騒ぎし、金髪にして会見場に現れたことも合わせて、僕たち日本人にとても大きなインパクトを残した出来事でした。

 

 

 

 

しかし、カズが「大きな功績を残した偉大なサッカー選手」としてだけではなく、1人の仕事人として「レジェンド」とまで言われ、多くの人に尊敬されるような存在になったのは、このカズ外し事件から後のカズ選手の生き方にあったと僕は思います。

 

 

 

サッカーと人生を楽しむ

 

 

 

「日本とは違うところでゼロからやりたかった」と考えたカズ選手は、クロアチアのディナモ・ザグレブというチームに移籍します。ザグレブにいたのはわずか8カ月でしたが、チームメートのゴラン・ユーリッチという選手に出会い、大きな影響を受けたと言います。

 

 

 

「クロアチアで生活した8カ月はいま僕がサッカーを続けていることにつながる大きな分岐点だったと思う」

 

 

 

「ゴラン・ユーリッチという選手に会って、サッカーを楽しむと同時に人生を楽しむことを学んだんです。彼がオフの使い方、ファッションや食、生きる姿勢、そんなものを見せてくれて、サッカー選手として大人にしてくれたんです」

 

 

 

 

クロアチアから戻ったカズは、ヴィッセル神戸を経て横浜FCに移籍し、現在に至ります。その間、日本代表に呼ばれたこともありましたが、今までのところ、ワールドカップへの出場は果たしていません。

 

 

 

「小さなことをコツコツやってるだけ」

 

 

 

横浜FC に移籍した時が38歳。普通の選手ならば、引退している年齢。それから40を超え、45を超え、とうとう50歳を超えても現役を続けている。当然、プロとして先発フル出場ができるための体作りは半端な努力ではない。毎日毎日、信じられないくらいのストイックな生活をし、厳しいトレーニングを自分に課していることは、何度もマスコミで報じられ、驚きを持って僕たちに伝えられます。

 

 

 

 

カズ選手は言う。「小さなことをコツコツやっているだけ」(AERA STYLE MAGAZINE)

 

 

 

 

妥協のない1分1秒を積み重ねて、体を作る。すべてはサッカーのため。

 

 

 

 

なぜ、カズ選手は51歳にして、現役のプロサッカー選手を続けられるのか。何が、カズ選手を駆り立て、厳しくストイックなトレーニングを何年も続けさせるのか?

 

 

 

 

サッカーが好きなことはもちろん。

 

 

 

 

「一生懸命やることこそが楽しい」と考えている人なのだと思います。中途半端にやりたくない。一生懸命やるからサッカーは楽しい。そして一生懸命に取り組めるものがあることに感謝し、日々積み重ねる。

 

 

 

 

カズ選手は言う。

 

 

 

 

「とにかく今日が大事で、昨日は関係ない。今日、いま、自分の力を見せるのが大切なことで、昨日は関係ないんです」

 

 

 

 

大きな実績を残したスーパースターが、昨日は関係ない、問題は今日だ、と言う。そして今日、地道なことをコツコツ繰り返し、積み重ね、明日に備えている。こういう姿に、僕たち仕事人は、胸を打たれる。

 

 

 

自分を信じる

 

 

 

自分は自分の仕事が好きか。その仕事に一生懸命に取り組んでいるか。その一生懸命で地道なコツコツを、楽しんでいるか。それ自体を楽しめているか。

 

 

 

 

カズ選手の存在そのものが、こういう質問を僕たちにぶつけてくる。そして、それを高いレベルでやり切っているカズ選手に、僕たちは勇気づけられている。

 

 

 

 

カズ選手がキングとかレジェンドとか言われるのは、偉大な功績があるからだけではありません。偉大な功績があるにもかかわらず、そんなものは過去のものだよと言い、ただひたすら目の前の「いま」に集中できる人だからレジェンドなのです。そんな気がします。

 

 

 

 

偉大な人が、今日も人知れず、小さなことを毎日コツコツ積み重ねている。僕たち凡人が、コツコツ積み重ねず、どうする?

 

 

 

 

カズ選手を見て笑う人。あるいは何も感じない人。こういう人は、自分を信じられない人なんじゃないかな。自分を信じたいと思っている人は、自分とカズ選手を重ね合わせ、そこに自分のあるべき姿を見て、心打たれ、明日からの糧にする。カズ選手をリスペクトする人が多いということは、自分を信じられる人が多いということ。そういう日本は、素晴らしいと思う。

 

 

 

 

試合終了後の無念そうな顔。もっと時間を与えられれば、もっとやれるのに。あるいはカズ選手のことだから、監督の信頼を勝ち得ていない自分の「足りなさ」について考え、じゃあどうすれば監督に認めてもらえるのかについて考えているに違いありません。

 

 

 

 

そしてカズ選手は、すぐに次の試合に向けての準備に入るのだと思います。やるべきことをただひたすら繰り返す。

 

 

 

 

簡単にはいかないから、のめり込む。だからサッカーはやめられない。こんな風につぶやきながら、練習に戻るのだと思います。

 

 

 

~コツコツ流のオキテ その二十二~

一生懸命やるから、仕事は楽しくなる

 

 

 

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